釣り人が川岸を去った後、その空には美しい猛禽類が舞います。それはミサゴと呼ばれる鳥です。主に魚を捕食するこのタカ科の鳥は、特に鮎釣りシーズン後の川で見られ、落ち鮎やコイを捕まえに来ます。その翼は広げるとトビほどの大きさになりますが、スリムな体型が特徴です。彼らの長い翼は見事な美しさを持ち、空を舞う姿はユリカモメを思わせる優雅さがあります。また、湖や海岸にも生息し、河口付近では特に大きな獲物を捕まえることが知られています。
日本の古典文学に頻繁に登場するミサゴは、日本の歴史と深い繋がりを持つ鳥です。『日本書紀』では「覚賀鳥」として記述されており、『太平記』には新田軍の侍がミサゴを射落とす場面が描かれています。日本の冬の季語としても用いられるこの鳥は、私たちの文化の一部として親しまれてきました。和名の「みさご」は、水に飛び込む際の音から来ていると言われています。
また、軍用機「オスプレイ」の名の由来となった英名もよく知られています。この鳥は、静かに空を舞い、獲物を狙って水面にダイブし、その黒く長い爪で魚を捕獲する姿が特徴的です。魚を捕まえた後、力強い羽ばたきで再び空へと舞い上がるその様子は、まさに自然界の傑作と言えるでしょう。